ビジネスブランドとプロダクトブランドについて

今回はビジネスブランド(企業ブランド)とプロダクトブランド(商品ブランド)について話していきましょう。企業がビジネスを行う中で、この二つはとても重要です。二種類のブランドにはそれぞれの役割があるからです。

ざっくり言うと、ビジネスブランドは、お客様に商品やサービスを提供している会社を示すブランドであり、プロダクトブランドは、提供される商品やサービスそのものを示すブランドです。では、なぜ2種類のブランドが大事なのでしょう?

つまり、私が以前ブランド戦略を担当していたソニーでいうと、ソニーロゴタイプに代表さえる「ソニー」がビジネスブランドの代表であり、「ウォークマン」や「Xperia」等がプロダクトブランドになります。

ソニーでは、ビジネスブランドとプロダクトブランドを明確に分ける戦略をとっています。これは、そのほうが企業としての安心感を常に与え続けることと、製品の新しさ、特長をストレートに伝えるという各々の役割を判り易く伝えることができると考えるからです。

お客様がブランドイメージを持つ要素には、大きく2つあります。ひとつはお客様が買おうとしている商品そのものの特長や個性(格好良いとか使いやすいとか)と、その商品が安心できる商品かどうか、です。判り易くするために、具体的なブランド名で説明しましょう。

お客様は、ソニーというブランドで、企業としての信頼性や全体的なイメージを、バイオやウォークマンというブランド名で商品の具体的なイメージを抱くのです。商品としての魅力を端的に伝える事、そして商品を常に安心して選んで頂く事、ビジネスブランドとプロダクトブランドは、そのメッセージを互いに補完しながら存在しているのです。

プロダクトのラインナップがシンプルな構成の場合には、どちらかのブランドに重心を置いた戦略を立ててイメージ訴求する事も効果的です。例えば、メルセデス・ベンツの乗用車は、企業ブランドから、「高性能」「安全」「ステータス」というイメージを持ち、それに共感すれば、あとは、好みの車種を選択することになります。だから、個々の車にブランドを作らず、Sクラス、Eクラスといった車種を指すだけで事足りるのです。

一方で、企業ブランドの下に多様な商品群を抱えていたり、多角経営を行うような場合には、個々の商品や事業のブランド構築も必要になってきます。ソニーはエレクトロニクスビジネスにおける商品ラインナップはもとより、映画、音楽、ゲーム、金融を始めとする多様なビジネスを行っているので、企業ブランド、それも個々の事業とグループとしてのブランド構築、そして商品ブランド、すべてを有機的に組み合わせた展開を行ってきています。ブランド戦略の当事者としては、難しい反面、パズルのようなやりがいも感じていたのも事実です。この辺、更に掘り下げていきます。

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